先日ようやく臨床入りしたA2A。
StaR®技術の最初の一品であり、
ヘプタレス社買収後に大型導出の最初の開発品です。
技術的な内容は何度か解説されていたわけですが、
今回の臨床入りを機にもう一度きちんと復習をしたいと思います。
とりあえずは去年のR&D Day 資料(そーせいHP)が一番詳しく書いてありますので、
こちらを中心に確認したいと思います。
過去のA2A関係の記事はこちら。
そーせい 予定・予想スケジュール(まとめ 呼吸器、ノル・ロラ、Mシリーズ、A2A)、
そーせい 予定・予想スケジュール(草案4 A2A)、
A2Aの臨床開始IRを受けて
注意
もしもおかしな点があれば、ご連絡をお願いします。
(たぶん空回りしない投資へ(PC用?)のどこかの記事に
コメントを頂ける方が確実に反応できます。)
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1.毒性リスクの低減
p.38にA2A受容体拮抗薬としての説明があります。
気になる点は「毒性リスクを低減」の記載でしょう。
その理由として、比較的低い分子量で極性が低い。
1-1.比較的低い分子量
分子量が大きい方が特異性や選択性が見かけ上はよくなるのですが、
結局は狙いの部分以外とも合致しやすいので副作用が発生しやすいようです。
上文 略
ここからは筆者の想像になりますが、多くの化学修飾を施し分子の構造を複雑にしていくことで、見かけ上ターゲット分子に対する特異性、選択性が向上した化合物が得られるかも知れません。しかしそれはあくまでも、アッセイしているタンパク質パネルの中での結果であり、生体内に存在する数万におよぶタンパク質すべてに対する化合物の作用を確認することはできません。例えばアスピリン等で発現する消化管への副作用を克服できるとして、COX-2選択的阻害剤が開発されました。確かにCOX-1/COX-2の選択性は劇的に向上しましたが、結果的には、頻度は低いものの重篤な心血管系への副作用が発現し、当初期待された“選択性=安全性”の方程式は必ずしも成立していないと言わざるを得ません。
参考:小さな化合物に戻ろう(シリコンバレー春夏秋冬)
大きな数になればなるほど、最大公約数は増えてしまいます。
大きな数=薬の分子量(やその構成分子)、その約数の各々=反応機構と考えるといいのかな?
わかりにくい説明ですみません。
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1-2.極性が低い
極性が高いと水と仲良し、反対に低いと油(脂)と仲良しという特徴があります。
そして、それに伴って薬の場合には
吸収される経路が変わってくるわけですね。
受動輸送
受動輸送は薬の吸収にエネルギーを必要とせず、拡散や浸透圧などの違いを利用するため、薬の濃度の濃いほうから薄いほうへ移動します。
ほとんどの薬は、この受動輸送によって消化管(とくに小腸)から吸収されます。
受動輸送による薬の吸収過程としては、細胞膜の脂質層を通る経路と、細孔を通る経路があります。
受動拡散によって細胞膜の脂質層を通過するには、脂溶性の薬のほうが吸収がよいです。
上記の説明から、脂肪層を通りやすくするために
経口薬は極性は低く抑えるように設計されるのがセオリーのようですね。
ただ、極性を下げるために効果が弱まるような分子はしたくないので、
これをどういう風にバランスを取るかが難しんでしょうね。
技術的な話はちょっと難しいので、
記事を細かく区別していきます。
2016年7月11日 記述
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