そーせいとCGRP

ヘプタレス社の最新の導出薬であるCGRP受容体拮抗薬。
まだまだ前臨床中ですし、私も全然理解していませんが、
ちょっとずつ理解するために書き留めておこうかと思います。

基本は前回のR&D Day 資料(そーせいHP)のp46~51と
テバ社へ導出した時に出したIR資料
子会社 Heptares 社と Teva 社との片頭痛治療薬候補である新規低分子 CGRP 受容体拮抗薬 に関する研究開発契約締結のお知らせ)を並行で見ながら読んでください。
また、R&D Dayの後にメモした過去の記事
そーせい R&Dメモ5 そーせいテバ社への導出 ir そーせい)も引用したりしてます。

1.偏頭痛の市場とその状況

今回のCGRP受容体拮抗薬は、一般素人には全く馴染みがない言葉ですが、
対象となる病気は慢性的な偏頭痛向けのものです。

何でCGRP受容体拮抗薬なのかは置いといて、
偏頭痛の市場規模などをまずは触れてみましょう。

そーせいのR&D Day 資料のp.47を引用しますと、

慢性的で治らない疾患
• 30-39才では最も高い有病率
• 有病率12%; 患者数3千万人強
(米国); 6千500万人強(G7)
• 25-33%の患者が高い頻度の偏頭痛を発症(~毎週)
• 30-40%の患者が予防薬を求めている

と書かれており、非常に規模が大きく、
開拓の余地が大きい市場となっております。

また、治療法に関しては軽度~重度で処方処置が異なり、
特に重度では予防:有効な選択肢がない状況となっています。
重度ほど苦しいのに、非常に大きな問題です。

さらに中度で適用されるトリプタン製剤には
制限(この製剤が効かない患者や循環系副作用のある患者)があるため、
50%以上の患者さんは予防が出来ません。

2.CGRP受容体(CGRP)拮抗薬の偏頭痛に対する役割

「そーせい R&Dメモ5 そーせい」の半ばにp.48の用語などを
調べているのでご参照ください。

私の理解では、CGRPレベルが高くなると、
三叉神経(脳神経のなかで最も大きな神経)周辺の血管が拡張してしまい、
神経を圧迫することで偏頭痛を発生させるということとなっています。

そのため、この原因であるCGRPレベルを抑制するための薬が
今回のCGRP受容体拮抗薬となるわけです。

そして、実際に他社の先行開発では、このCGRP受容体拮抗薬(もしくはCGRP拮抗薬)が
いくつか治験されています。

A.低分子のCGRP受容体拮抗薬

(一定の効果があったため)第Ⅲ相まで進んだものの、
高容量で化合物独自の特性による肝毒性が確認されて失敗になったとのこと。

B.抗体薬のCGRP受容体(もしくはCGRP)拮抗薬

TEV-48125およびALD403は慢性偏頭痛の予防での有効性を示した。(第Ⅱ相)
⇒しかし、抗体薬なので非常に高価であり、低分子量化することで価格を抑え、
十分に競争力がある薬になるわけです。

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3.ヘプタレス社のCGRP受容体拮抗薬

ヘプタレス社が持つ構造ベース(SBDD?)およびフラグメントベース創薬プロセスを経て最適化された
有効性の高い低分子薬です。
そのため、高い選択性が期待できるため、
非常に高い効能と限定された副作用の両立を狙えます。

3-1.投与方法は2系統 (皮下投与と経鼻投与)

R&D 資料のp.49に書かれていますが、
現在出されているスケジュールは
投与方法が異なる試験によって大きく二つの流れがあります。
1つは皮下投与、もう一つは経鼻投与製剤です。

2系統で行って、良い方を進めるスケジュールのようです。
皮下投与は注射で投与コストが高いですし、
自分でできないことがQOLを下げるため、
できるなら経鼻投与製剤を中心に進めたいとは思います。

現代社会は、単純に薬効だけでなく、
医療コストを如何に抑えるかも非常に重要なポイントです。

3-2.化合物選定は2015年4Q予定

上記の参照資料(R&D Day 資料)に記載されている通り、
2016年に第Ⅰ相開始、2017年に第Ⅰ相作用検証となっています。

ただし、資料(p50)に書かれています通り、2015年4Qに化合物の選定とあります。
⇒つまり、当時(2015年2Q)にも化合物は特定していない状況

そういうと、追加の報告があるまではかなり不確定な状況と考えた方が無難ですが、
先日(2015年11月25日)にテバ社へ導出することが決まりました。
このことは、非常に順調に開発状況が進んでいることを示しており、
化合物選定が未定というのは複数の候補がそれぞれ有望であることを期待できます。

しかし、非常に難易度の高い製薬開発ですので、
株主としてはスケジュールがおすことは念頭に入れながら投資をするべきです。

予定は未定ですが、
資料に書かれている予定を抜粋しますと、以下のようになっています。

2016年1月~3月(今年度) 化合物の特定
同年(春?) IND申請用の試験(皮下投与薬)
同年(夏~秋?) 第Ⅰ相開始(皮下投与薬)
同年(秋~冬?) 第Ⅰ相開始(経鼻投与薬、皮下投与薬に遅れてスタート)
2017年 第Ⅰ相安全性試験
(経口投与、皮下投与治療標的への作用検証)
同年 第Ⅱ相開始(皮下投与薬 or 経鼻投与薬)
(急性 予防( ンセプト検証を含む))

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4.テバ社への導出について

先に触れましたが、2015年11月25日にテバ社へ
本CGRP受容体拮抗薬を導出をしました。

4-1.テバ社(Teva Pharmaceutical Industries Ltd)とは?

そこまで製薬大手を知らないので、
ちょっとWikipediaでテバ社を調べてみました。
テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(Wikipedia)

イスラエルの企業で、後発薬(ジェネリック薬)の分野で世界最大とのこと。
2013年の売上は200億ドル(2.4兆円)以上。
現在の時価総額は560億ドル(6.7兆円)前後。

相変わらず、ヘプタレス社と組む会社は世界的な超大手ですねー。
武田製薬も霞んでしまう位の。
ファイザー、ノバルティス、アストラゼネカ、テバ社等々
こんな企業群と契約していても時価総額2000億円よりも
大幅に下回る評価で放置される日本市場って一体。。。

4-2.契約条件について

そーせいのIR資料(子会社 Heptares 社と Teva 社との
片頭痛治療薬候補である新規低分子 CGRP 受容体拮抗薬に関する
研究開発契約締結のお知らせ)を参照ください。

当社子会社 Heptares Therapeutics (ヘプタレス・セラピューティクス、以下、「Heptares 社」)とイスラエル Teva Pharmaceutical Industries Ltd (テバファーマスーティカル・インダストリーズ、NYSE: TEVA、以下、「Teva 社」)は、Heptares 社が創出した新規低分子 CGRP 受容体拮抗薬について、片頭痛治療を目指した独占的開発・製造販売権に係る研究開発契約を締結いたしましたので、お知らせいたします。
本契約により、Heptares 社は契約一時金 10 百万米ドル研究開発支援金さらに最大 400 百万米ドルの開発・販売マイルストンを受領することが可能となります。また本提携により Heptares 社は、販売高に応じたロイヤリティを受領することが可能となります。

一部省略

通期業績予想への影響は現在精査中であり、今後、業績予想修正の必要性および公表すべき事項が生じた場合には速やかに開示いたします。

この契約で受け取れる予定のお金は、以下の4つに分類できます。

1.契約一時金(10MD(12億円))
2.研究開発支援金(金額、発生タイミングは不明)
3.開発・販売マイルストン(最大400MD(480億円強)、発生タイミングは不明)
4.販売高に応じたロイヤリティ(販売後に)

数字は400MDが目立っていますが、
全ての契約を合わせて400MDではありません。
多くの人が誤解しているようなので敢えて書きました。

研究開発支援金の詳細が分からないのですが、
各ステージで数億円~数十億円が発生する可能性は十分にあります。
そう考えると、総額はロイヤリティーを除いても500MD近くになるかもしれません。

さらにロイヤリティーですが、
早期契約とはいえ、数%というような小さな数字は考えにくいと思います。
増資も無事に済んでいる状態で、無理に早期導出する経営状況ではありませんので、
折衝上は強く進められたはずです。

なので、少なくともシーブリと同じ10%程度、
普通に考えると20%に近い契約になっていてもおかしくありません。

ピークが20億ドル(2400億円強)/年を予想しているため、
ロイヤリティーは2億ドル(240億円強)/年になる可能性は十分にあります。
さらに夢のある企業に前進しましたねー。

2015年12月6日 記述

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投稿者: wpmaster

私はメーカー技術員として働いている30代のおっさんリーマンです。 やる気がないわけではないですが、サラリーマン生活に一生を捧げるほど燃えてはおらず、奥さんと子供のためにも最低限の稼ぎをと思って過ごしております。 投資歴は10年以上になりますが、資産は大したことありません。 のんびりと、しかし確実に資産を増やせるように投資能力を研鑚できればと思います。

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