先にそーせいとCOPD薬(その1 COPDという病気)や
そーせいとCOPD薬(その2 製薬業界の状況)を説明してきました。
これらの背景を踏まえてから、
やっとこさ「そーせい」について触れていきたいと思います。
前説長げーな、と思った人。
これらのことがわからないで中期以上の投資で結果につながらないと信じて我慢をしてください。
ココからも長いですから(笑)
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1.そーせいのCOPD薬の歴史
そーせいのCOPD薬開発は買収に始まりました。
アラキスというイギリス企業を2005年に買収しまして、
別にそーせいはこの薬が欲しくてこの会社を買収したというわけではなさそうです。
当時のアラキスには多くのパイプラインがあり、
どれが上市されても十分に大きなリターンが望めるという期待からのようです。
(当時は保有していなかったため、
情報の確実さはイマイチですので話半分でお願いします。)
そういう意味では、今の会社の状況は結果オーライな感じはあります。
シーブリはCOPD薬の看板商品であるスピリーバと同じLAMA
効能はスピリーバ同等であり、
そして、これをそーせいが売るわけではなく、
世界トップクラスの製薬企業ノバルティス社(スイス本社)が売ってくれるわけです。
とはいいましても、それだけではほとんど後発品扱いになりますから、
スピリーバを弱小製薬メーカーが売っているならいざ知らず、
世界のファイザー様が販売しており、ライバルの営業力も十分あります。
(開発はベーリンガーインゲルハイム(独)なんですけどね。)
じゃあ、シーブリってイマイチじゃない?と思った人はちょっと待ってください。
実はシーブリが本命じゃないわけです。
先に言いました今開発・上市が進んでいる合剤が目玉なんです。
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2.LAMA+LABAの合剤 ウルティブロ
ノバルティス様の商品であるオンブレス(LABA薬)とシーブリ(LAMA)の合剤で
ウルティブロ(LAMA+LABA)があります。
控えめに言ってです。(本当はトップと言いたい(笑))
効能だけで十分に競争力が高いですね。
そして、現在は物凄いスピードで拡販中です。
ノバルティスの四半期毎のレポートにも
すごいスピードで拡販中との文言が毎回入っています。
参考 Second Quarter 2015 Results p36参照(Novartis)
米国ではFDAと折り合うのに手間取り、
ようやく今年(
1年以上早く上市できている欧州では
COPD薬のトップセールスになれる可能性が十分にあります。
簡単にスピリーバー以上の売上が達成できるかということはわかりません。
ただし、
NVA237 および QVA149 の米国における承認申請および第Ⅲ相臨床試験結果について
不治の病が少しでも回復傾向になるとしたら、
患者さんの気持ちだけでなく、治療費用などの面においても
非常に有利な状況になりえますからね。
3.喘息まで手を伸ばすQVM149
そして、ウルティブロでは飽きたらず、
QVM149 ・・・ LAMA+LABA+ICS (喘息薬)
引用元:導出先のノバルティス社が喘息適応の QVM149 を開発予定 (そーせいHP)
ちゃんと読んでほしいですが、
QVM149はCOPD薬ではなく、喘息薬です。
知名度的にも予想できたでしょうが、喘息の市場はCOPD以上です。
これから開発ですから、
上市までに特許期間がどのぐらい残っているかという問題もあり、
そーせいへの収益はそれほど大きくない可能性もありますが、
タナボタ的な収益なので、非常にラッキーじゃないかと思います。
しかし、なぜに喘息?なぜに今?と思われた方もいるかと思います。
私も同じです。
前にトリプル薬をCOPDにという話はありましたし。
そのときの話では、実際にはダブル薬のウルティブロでもかなり効能が強いらしく、
あえてトリプルをCOPD薬で治験する必要性はそれほどないと聞いた記憶があります。
そのために、喘息へ適用を拡大に繋がったわけだと思います。
副作用が大きめのステロイド系をあえて入れるには、
相応の理由が必要でしょうしね。
また、
彼らが持つスピリーバでの販売網を活用して、
2014 年欧州呼吸器学会(ERS)における「ウルティブロ® ブリーズへラー® 」、 「シーブリ® ブリーズへラー® 」の有効性データの発表、および英国における ノバルティス社とファイザー・リミテッド社の販売契約について
世界最大市場である米国での遅れは非常に痛いのですが、
それを除いても非常に高い確率でブロックバスター(年間売上高が1000MD以上)に
成長することは非常に大きいです。
んじゃ、そのブロックバスターはいつぐらいになるの?
という疑問が生まれる人が多いと思います。
その疑問への1つの案は次の投稿へ。
2015年10月5日 分割&追記
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