今回の業績結果は予想通り。
そして、下方修正は予想していたものの、
まだ薄らと期待のようなものを持っていたので
ショックを受けた人もいたようですね。
残り2か月なので、下方修正の精度はそこそこありそうですし、
今後のイベント予想のためにも
ちょっと業績を精査してみます。
まずは、これまでの主な収益を振り返り、
数字がどういう風に変化したかを確認してみようかと思います。
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A.ロイヤリティー以外の収入及び支出について
A-1.子会社 Heptares 社と Allergan 社、アルツハイマー病等の中枢神経系疾患に対する 新規治療薬の開発・販売提携を発表 (そーせい社HP) 2016.4.7発表
受領マイル:125MD(137億円)+研究開発支援金(50MD(55億円)の一部)
研究開発支援金は後ほど推測します。
A-2.がん免疫療法の新薬候補の第Ⅰ相臨床試験開始に伴い、 子会社 Heptares 社は AstraZeneca 社から 10 百万米ドルのマイルストンを受領(そーせいHP) 2016.7.6発表
受領マイル:10MD(10.1億円)
A-3.COPD 治療薬の販売マイルストン達成のお知らせ(そーせいHP) 2017.1.26発表
受領マイル:5MD(5.8億円)
A-4.その他
CVCの設立、動物薬の共同開発、ペプチド医薬品開発等もありましたが、
目立った収益には関係ないと思いますので省きます。
B.ロイヤリティーの収入について
ロイヤリティーに関しては、
いつものノルレボとCOPD薬(ウルティブロとシーブリ)です。
B-1.ノルレボ(あすか製薬から)のロイヤリティー
まずはノルレボから。
2016年3月度 第4Q 1.9億円(年度累計9.1億円)
2017年3月度 第1Q 3.1億円
2017年3月度 第2Q 2.8億円(年度累計5.9億円)
2017年3月度 第3Q 2.8億円(年度累計8.7億円)
過去の数字を振り返ると
大雑把ですが12%程度のロイヤリティだと予想してます。
更に1Q遅れて収益が入るとすると、以下の数字ぐらいになると思います。
2017年3月度 第1Q 0.2億円
2017年3月度 第2Q 0.4億円(年度累計0.6億円)
2017年3月度 第3Q 0.3億円(年度累計0.9億円)
2017年3月度 第4Q 0.3億円(年度累計1.2億円)
もっと多いかもしれませんけど、
全体からすると大きなものではないので深くは考えません。
B-2.ウルティブロ&シーブリ(ノバルティスから)のロイヤリティー
次にウルティブロ&シーブリを。
(ウルティブロとシーブリを合わせた数字)
2016年度 第1Q 113MD
2016年度 第2Q 139MD
2016年度 第3Q 132MD
2016年度 第4Q 128MD
今までやっていたようにロイ率を4.75%と仮定して、
各Qのロイヤリティーを計算してみます。
(ノバルティスの決算から1Qずれて収益です。
また、ノバルティスは12月決算ですのでご注意を。)
2017年3月度 第1Q 5.4MD
2017年3月度 第2Q 6.6MD(年度累計12MD)
2017年3月度 第3Q 6.3MD(年度累計18.3MD)
2017年3月度 第4Q 6.1MD(年度累計24.4MD)
ここから為替を考えるべきなんですが、
ちょっとややっこしいので、
一度保留します。
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C.マイルとロイヤリティーから算出される決算の値
以上のことから、売上を計算します。
<2017年3月度 第1Q>
125MD(137億円) +「50MDの一部」+ 0.2億円 + 5.4MD + α
<2017年3月度 第2Q>
125MD(137億円) +「50MDの一部」+ 10MD(10.1億円) + 0.6億円 + 12MD + α + β
<2017年3月度 第3Q>
125MD(137億円) +「50MDの一部」+ 10MD(10.1億円) + 0.9億円 + 18.3MD + α + β + γ
<2017年3月度 第4Q>
125MD(137億円) +「50MDの一部」+ 10MD(10.1億円) + 5MD(5.8億円)
+ 1.2億円 + 24.4MD + α + β + γ + δ
*α、β、γ、δはその他収益
これに対して、各期末の為替の数字を。
(ドル円。数字は大まかに)
2017年3月度 第1Q 103円
2017年3月度 第2Q 101円
2017年3月度 第3Q 116円
2017年3月度 第4Q 107円(仮)
*会社期初予想は115円
これらを計算してまとめると、
発生時換算法では以下の通り。
<2017年3月度 第1Q>
137億円 +「50MDの一部」+ 0.2億円 + 5.6億円 + α
⇒142.8億円 +「50MDの一部」 + α
<2017年3月度 第2Q>
137億円 +「50MDの一部」+ 10.1億円 + 0.6億円 + 12.1億円 + α + β
⇒159.8億円 +「50MDの一部」+ α + β
<2017年3月度 第3Q>
137億円 +「50MDの一部」+ 10.1億円 + 0.9億円 + 21.2億円 + α + β + γ
⇒169.2億円 +「50MDの一部」+ α + β + γ
<2017年3月度 第4Q>
137億円 +「50MDの一部」+ 10.1億円 + 5.8億円 + 1.2億円 + 26.1億円 + α + β + γ + δ
⇒180.2億円 +「50MDの一部」+ α + β + γ + δ
一方で、期末時換算法では以下のとおり。
(計算方法が間違っているかもしれません。)
<2017年3月度 第1Q>
128.8億円 +「50MDの一部」+ 0.2億円 + 5.6億円 + α
⇒134.6億円 +「50MDの一部」 + α
<2017年3月度 第2Q>
126.3億円 +「50MDの一部」+ 10.1億円 + 0.6億円 + 12.1億円 + α + β
⇒149.1億円 +「50MDの一部」+ α + β
<2017年3月度 第3Q>
145億円 +「50MDの一部」+ 11.6億円 + 0.9億円 + 21.2億円 + α + β + γ
⇒178.7億円 +「50MDの一部」+ α + β + γ
<2017年3月度 第4Q>
133.8億円 +「50MDの一部」+ 10.7億円 + 5.4億円 + 1.2億円 + 26.1億円 + α + β + γ + δ
⇒177.2億円 +「50MDの一部」+ α + β + γ + δ
為替が結構動いたのと、
金額自体が大きいので為替の取り方で数字が大きく変わりますね。
予測がかなり難しいなと改めて思います。
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C.決算の数字との売上の照合
過去の各Qの決算報告書と先日の下方修正をリンクします。
2017年3月期 第1四半期報告書(そーせい社HP)
2017年3月期 第2四半期報告書(そーせい社HP)
2017年3月期 第3四半期報告書(そーせいHP)
2017 年 3 月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ(そーせいHP)
決算の売上をみて
決算から拾った売上は以下の数字です。
2017年3月度 第1Q 150.8億円
2017年3月度 第2Q 158.4億円
2017年3月度 第3Q 171.1億円
2017年3月度 第4Q 194.2億円(修正前 279.3億円)
これらの数字と先ほどの数字(発生時の為替での予測)を比較すると、
以下の予想が発生します。
<2017年3月度 第1Q>
150.8億円(報告値) – 142.8億円(具体的に出ている売上の予測)
= 8.8億円 =「50MDの一部」 + α
<2017年3月度 第2Q>
158.4億円(報告値) – 159.8億円(具体的に出ている売上の予測)
= – 1.4億円 =「50MDの一部」 + α + β
<2017年3月度 第3Q>
171.4億円(報告値) – 169.2億円(具体的に出ている売上の予測)
= 2.2億円 =「50MDの一部」 + α + β + γ
<2017年3月度 第4Q>
194.2億円(修正値) – 180.2億円(具体的に出ている売上の予測)
= 14.2億円 =「50MDの一部」 + α + β + γ + δ
売上が発生したタイミングの為替で計算してみると、
第2Qで予想から赤字が出てしまいました。
注意しておくべきことは、
ノバルティス(及びあすか製薬)からのロイヤリティは
不明確にするために必ずしも一定の数字で入ってこないということです。
なので、短期的には少ないロイヤリティーの四半期もあると考えられます。
(特に2Qや3Qでのロイヤリティは少なめとか)
合ってるかわからない発生時換算法だとしても、
結局は3Qで赤字になるので
ちょっとよくわからない感じですね。
気になるのは「50MDの研究開発支援金」の割り振りですね。
これ次第で今年度中に大きなマイルが発生する可能性もあります。
私なりに想像するのは5~10MD程度じゃないかと思うので、
そうすると、CGRP等の進捗は
年度内には難しいんでしょうね。
結局は何も予想できなかった。
非力です。
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D.修正前後の売上予測に見るM1の期待マイル
売上予測が80億円ほど修正されました。
279.3億円 ⇒ 194.2億円
この数字をそのまま受け取って、
M1の第Ⅱ相が80億円程度のマイルだというのは
ちょっと期待が膨らみすぎです。
D-1.為替について
そもそも予測為替レートが
115円⇒107円に修正したことも合わさっているので、
そこは絶対的に考えるべきです。
ほとんどがドルベースで収益を上げていますので、
売上を115円⇒107円で比例的に落ちることを考えますと、
7%ほどの減収になります。
つまり、為替レートで
19.5億円程度の収益ダウンを考えておく必要がります。
なので、多くても60億円程度(115円換算で52MD)。
D-2.COPD薬のロイヤリティーについて
更に他の契約やロイヤリティー等が
もっと多く入っていたことを予想していた可能性もあります。
ロイヤリティーに関しては、
米国販売が遅くとも6月中にスタートと予想していたので、
少なくとも米国で予想していた売上分は減っているはずです。
立ち上がりですから、
そんなに多く予想していなかったでしょうが、
とは言っても巨大市場の米国。
欧州での立ち上がり並の
20MD~30MDの売上(7月~12月)を予測では?と思います。
そうすると、ロイヤリティーで1億円程度。
また、結果的には伸び悩んでいるウルティブロの売上ですが、
期初はもっと大きくなると考えていた可能性もあります。
それが50MD以上開きがあれば、
3億円以上は違う可能性もありますね。
D-3.その他契約について
A2Aはほぼ順調と思われますので、
CGRPの方が予想と外れたのかもしれません。
当初の予定では、
去年の春には候補が決まっていたはずですが、
未だに前臨床から抜け出せない様子。
こちらは総額がA2Aと同じなので、
臨床入りで10MD(11億円)程度を期待できます。
また、M4が臨床入りする可能性もありましたので、
これが10MD以上は考えられたわけです。
更に他のパイプラインはまだまだ初期なので、
導出は考えていなかったとは思いますが、
ファイザーの10種類の候補は計画していた可能性も。。。
一発で数億円ですからね、小さくない。
D-4.大まかなM1関係の2017年度3月に期待していたマイル金額
上記をまとめます。
1.為替 ・・・ 19.5億円
2.ロイヤリティー ・・・ 1億円~3億円
3.その他契約 ・・・ 10億円~30億円
私なりに当時計画されていたと思われるものを
合計すると「30億円~50億円」程度は考えられます。
そのため、M1関係によるマイル発生は、
「30億円~50億円(25MD~45MD)」を予想しました。
ただ、M1はご存知の通り現段階でも2種類が
既に公表されていますが、
HTL18318は流石に第Ⅱ相入りを予想していなかったでしょうから、
HTL9936のみでしょう。
また、第Ⅱ相は前期と後期にわかれてやると思いますが、
前の予定では2016年の終わりに前期をスタートとしていましたので、
前期のみのマイルが上記の金額になるのでは?と思います。
参考:子会社Heptares社、ファーストインクラスの選択的ムスカリンM1受容体作動薬HTL9936が後期第I相臨床試験を良好な結果で終了(そーせいHP)
どうなるでしょうかね?
治験自体は順調そうなので、
マイルは時間の問題だとは思います。
HTL18318との絡みがどうなるのかも楽しみです。
アラガン社の費用負担を考えると、
「2つを併用」か「第Ⅰ相のいい方を優先」のどちらかと思いますが、
2つを一気に第Ⅱ相で確認する可能性もあって楽しみですね。
2017年 2月 11日 記述
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